小学3年生の息子がいます。宿題をしない、ゲームをやめない、片付けない。言葉で何度言っても伝わらず、毎日同じことの繰り返しです。私が子どもの頃は「言葉でわからなければ叩かれて覚えた」という教育でした。言葉でわからないなら、体罰も教育として仕方ないと思いますか?
毎日同じことの繰り返し、本当にお疲れさまです。「叩かれて覚えた」世代の私たちが、自分の受けた教育と今のわが子の間で揺れるのは自然なことです。結論から言うと、体罰はおすすめしません。ただしそれは「かわいそうだから」ではなく、教育の手段として目的を達成できないからです。まず研究でわかっていることから説明しますね。
体罰では「言うことを聞く子」にならない理由
研究でも効果が確認されていません
数十万人規模のデータを含む多くの研究で、体罰には次の傾向が確認されています。
短期的には行動が止まっても、長期的には攻撃性が増える。親子関係が悪化し、自己肯定感が下がる。そして何より、子どもが学ぶのは「なぜその行動がだめか」ではなく「見つかると痛い目に遭う」ということ。
体罰で子どもが身につけるのは「善悪の判断」ではなく「バレない工夫」。つまり、教育の目的そのものから遠ざかってしまうのです。「叩かれて覚えた」ように感じるのは、実際には「叩かれない立ち回りを覚えた」だった、というのが研究からわかったことです。
「言葉でわからない」のではなく「言葉の届け方」の問題かも
小学校中学年くらいの子に何度言っても伝わらないとき、実は「言葉の内容」より「言い方・タイミング・環境」に原因があることが多いです。心理学的にも、人は命令されると反発したくなり(心理的リアクタンスといいます)、自分で決めたことは守りたくなる性質があります。大人も同じですよね。
Q. 私自身は叩かれて育ちましたが、まともに育ったと思います。それでもだめですか?
A. あなたがまっすぐ育ったのは、体罰の成果ではなく、それ以外の愛情や関わりがあったからだと考えるのが自然です。そして「叩かれてつらかった記憶」を持ちながら子育てに悩んでいるという事実そのものが、体罰の代償の一つでもあります。同じものをわが子に渡すかどうかは、ここで選び直せます。
法律ではっきり禁止されています
そして念のためお伝えすると、2020年施行の改正児童虐待防止法・児童福祉法により、親によるしつけとしての体罰も法律で禁止されました。「しつけのつもりだった」は理由にならない、というのが今の日本のルールです。
体罰の代わりに、今日からできること
① 命令を質問に変える
「宿題やりなさい!」ではなく「宿題、いつやる?」。本人に開始時刻を決めさせて、その時刻に一度だけ声をかけます。自分で決めたことは守りやすい、という性質をそのまま使う方法です。
② 行動の直後に、短く具体的に伝える
後からまとめて説教するのではなく、その場で一言。「ゲームの時間、過ぎてるよ」で十分です。長い説教は、中学年の子には「聞き流すスキル」を育ててしまいます。
③ ルールと結果を、子どもと一緒に決めて紙に書く
例えば「宿題が終わったら夕食まではゲームOK」のように、ルールと結果をあらかじめ本人と一緒に決めておきます。親が一方的に決めたルールより、自分が参加して決めたルールのほうが守られやすく、破ったときも「約束したよね」で済むので感情的な衝突が減ります。
④ できたときに、しっかり反応する
できていないときだけ反応していると、子どもにとって「親の注目を得る手段=やらないこと」になってしまいます。自分から動けた日にこそ「お、自分で始めたんだ」と気づいて言葉にしてあげてください。
叩く・怒鳴る・長時間の説教はNG。その場では効いたように見えますが、学ばれるのは「怖い人の前でだけ従う」こと。親の見ていない場所での行動は変わらず、思春期に入ると反動が大きくなります。また、手を上げたくなるほど追い詰められているときは、その場を一度離れて深呼吸するほうが、親子どちらにとっても安全です。
- 体罰は法律で禁止されており、「言うことを聞く子になる」効果も研究で確認されていない
- 子どもが学ぶのは善悪ではなく「バレない工夫」。教育の目的から遠ざかる
- 「何度言ってもわからない」は、伝え方を変えるサイン。命令を質問に変え、ルールは子どもと一緒に決める
- 追い詰められるほど頑張っている証拠。一人で抱えず、周囲や相談窓口に頼ることも選択肢に
※本記事は一般的な子育て情報であり、専門的な相談に代わるものではありません。ご心配が続く場合は、自治体の子育て相談窓口にご相談ください。

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