子どもに『ダメ』ばかり言うのはよくない?【保育士が答えます】

Q お子さんの年齢:4歳・3歳

子どもへの「ダメ」という言葉について相談です。30代夫婦で、4歳の娘と3歳の息子がいます。
二人とも最近どんどん知恵も体力もついてきて、なんでも自分でやってみたいという時期です。危ないことやお行儀の悪いことも増えてきて、そのたびに「ケガするからダメだよ」など、つい「ダメ」という言葉が多くなってきました。私は、そろそろダメなものはダメと、はっきり線を引いて伝えるべきではと思っています。ですが、こども園で保育教諭をしている妻からは「ダメみたいな否定的な言葉は使わないで」と言われます。妻自身が自分の母親から何でも否定されて育ったそうで、否定的な言葉にとても敏感です。私も「こうしようね」という言い換えを心がけてきましたが、4歳にもなれば、はっきり伝えることも必要ではと思い始めました。
このままで子どもたちが打たれ弱くならないか心配です。「ダメ」とはっきり言葉にして伝えるのは、やはりよくないことなのでしょうか。

A 保育士で三児の母がお答えします

お子さんの成長を見つめながら伝え方までしっかり考えている。とても丁寧に子育てされているご夫婦だと思います。この件は「どちらが正しいか」ではなく、奥さまもあなたも半分ずつ正しいと思います。

「ダメ」は、使っていい。ただし使いどころがある

あなたの「はっきり伝えることも必要では」という感覚はまったく間違っていません。危険なこと、人を傷つけることは、遠回しな言い換えより「ダメ」とはっきり止めるべき場面です。道路に飛び出す、友だちを叩く、熱いものを触ろうとする。こういう時に「こうしようね」と穏やかに諭している余裕はありませんし、子どもにも一瞬で伝わりません。命や安全に関わることは、短く強く「ダメ」で止める。これは正しい関わりです。

一方で、奥さまの「否定的な言葉を使わないで」も、保育の知識として理にかなっています。ポイントは、すべての場面で「ダメ」を禁止しているのではなく、「ダメ」を減らしたほうがいい場面がある、ということなんです。この線引きが、ご夫婦の間で共有されていないから話がすれ違っているのだと思います。

使い分けの基準はシンプルです。危険・他者を傷つける・許されないことは、はっきり「ダメ」で止める。
一方で、ただの失敗や、やり方が下手なだけのこと、挑戦の途中のことには「ダメ」を使わず「こうしてみようね」と伝える。全部を「ダメ」で止めるのでも、全部をやわらかく言い換えるのでもなく、場面で分ける。これが子どもにとって一番わかりやすい形です。

なぜ「ダメ」ばかりだと伝わりにくいのか

「ダメ」だけでは、どうすればいいか分からない

奥さまが気にしているのは、おそらく「ダメ」という言葉の否定的な響きよりも「ダメ」で止めるだけでは子どもが次の行動を学べないという点だと思います。たとえばソファの上で飛び跳ねている子に「ダメ!」とだけ言うと、子どもは動きを止めますが「じゃあどうすればいいのか」は分かりません。だからまた別の場面で同じことをします。ここで「ソファは座るところだよ。跳びたいならお布団の上でね」と、してほしい行動をセットで伝えると子どもは行き先が分かって納得します。
園でも、この「ダメと言うより、してほしいことを伝える」は日常的に使う基本の関わりです。あなたが「遠回しで伝わっているか疑問」と感じるのは、言い換えが曖昧すぎる時で、具体的に行き先を示せばやわらかい言い方でもちゃんと伝わります。
大事なのは「ダメか、言い換えか」ではなく「次にどうすればいいかまで伝わっているか」なんです。

4歳は「理由」が分かる年齢

あなたが「4歳にもなれば、はっきり伝えることも必要では」と感じているのは鋭い感覚です。4歳頃になると、子どもは「なぜダメなのか」という理由を理解できるようになってきます。だから、ただ「ダメ」と禁止するより「熱いから触らないよ、やけどしちゃうからね」と理由をセットにすると、ぐっと納得しやすくなります。これは、はっきり伝えることと、頭ごなしに否定することの大きな違いです。理由を添えてはっきり伝えるのは否定ではなく「教える」こと。あなたが目指したい「はっきり」は、この形にすると奥さまの心配とも両立できます。
園でも、3歳児クラスと5歳児クラスでは伝え方を変えていて、大きくなるほど理由を丁寧に添えて伝えるようにしています。

「打たれ弱くならないか」という心配について

子どもが打たれ弱くならないか、という不安もよく分かります。ただ、子どもが打たれ強く育つかどうかは「ダメ」と言われた回数ではなく、「失敗しても受け止めてもらえた」という安心の積み重ねで決まります。
挑戦して失敗したときに「大丈夫、もう一回やってみよう」と支えてもらえた子は、多少叱られてもへこたれない芯を育てます。
逆に、失敗そのものを「ダメ」と否定され続けると、挑戦を怖がるようになります。つまり、打たれ強さのために必要なのは、厳しく「ダメ」と言うことではなく、はっきり伝える場面と、たっぷり挑戦させて受け止める場面の両方があることなんです。
ここは、あなたと奥さまの考えが同じゴールを向いています。

この件で一番避けたいのは、子どもの前で夫婦の方針が食い違って、パパは「ダメ」、ママは「いいよ」とバラバラになってしまうことです。子どもは、どちらに従えばいいか分からず混乱し、ゆるいほうを試すようになります。
園でも、担任どうしで対応がそろっていないと、子どもは必ず戸惑います。どちらのやり方が正しいかを勝ち負けで決めるのではなく「危険なことは二人ともはっきり止める」「挑戦や失敗にはダメと言わない」といった線引きを夫婦で一緒に決めておくことが何より大切です。

  • 「ダメ」は使っていい。危険・他者を傷つける・許されないことは、はっきり止めるべき
  • ただの失敗や挑戦の途中には「ダメ」を使わず「こうしてみようね」と行き先を示す
  • 「ダメ」だけでは次の行動が学べない。してほしいことをセットで伝えると納得する
  • 4歳は理由が分かる年齢。理由を添えてはっきり伝えるのは、否定ではなく「教える」こと
  • 打たれ強さは「ダメ」の回数ではなく、失敗を受け止めてもらえた安心で育つ
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このブログを書いている人
保育士資格保有|保育士歴10年以上|3児の母

大学で心理学を履修後、教育学部を経て保育士として働いています。心理学×教育の考えを元に育児の悩みに向き合っています。園で出会ったたくさんの親子と、我が家の毎日から学んだ「今日から試せること」をお届けします。

※本記事は一般的な子育て情報であり、専門的な相談に代わるものではありません。ご心配が続く場合は、自治体の子育て相談窓口にご相談ください。

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